はじめに
中国政府は2010年から国内のいくつかの都市で居住許可制度を試験的に実行しました。 この制度は農村からの移住者の勤務実績や納税額、学力などの社会的能力がある一定の要件を満たせば彼らに都市での居住許可とその地域で社会サービスを利用する権利を与えるものです。
これは農村から都市への移住を極めて困難にしていた従来の戸籍制度を部分的に改革しようとするものです。今回はこの居住許可制度が今後どの様に展開していくのか、その可能性について見て行きます。
またこれまでは農村から都市への移住者に焦点を置いて話してきましたが、今回初めて元々の都市居住者達が都市でどの様な生活を送っているのかについても見て行きます。
居住許可制度の可能性
中国がその国全体として蓄えている財源を持ってすればこの居住許可制度を全国的な規模で展開し、実行する事も可能でしょう。そうなれば、あらゆる農村出身者は都市へ出て行きそこに住む機会を得ることが出来るようになるので、もはや農村戸籍は農村出身者を農村に縛り付ける力を持たなくなると言えます。それによって農村戸籍は単にその土地が誰の所有物かを証明するだけのものになり下がるのです。戸籍からようやく人が解放されるという事ですね。
居住許可制度の本格的発効の為の課題
しかしこれはあくまで理想論であり、現時点では居住許可制度による戸籍制度改革は試験段階にとどまっています。これが試験段階を抜け出し、本格的に発効されるようになる為には、中央政府はまず中国国内のあらゆる地域でこの制度が通用するような制度としてのきちんとした規格を作り、それを発行する必要があります。
さらに財源豊かな大都市が社会サービスを提供する為の財源に乏しい地方都市にそれを実行する為の財政支援を行えるように財政移管制度を改善していく必要もあります。
これまでは農村からの移住者の生活に焦点を置いてきました。ここからは都市部の人々の暮らしを見ていきましょう。彼らは果たして農村部の人々に比べて自由で豊かな暮らしをしていたのでしょうか?
都市居住者を管理していた単位と言う組織
これまでは農村からの移住者の生活に焦点を置いてきました。ここからは都市部の人々の暮らしを見ていきましょう。彼らは果たして農村部の人々に比べて自由で豊かな暮らしをしていたのでしょうか?
実は 1990年代後半までは殆どの都市居住者は僅かな賃貸料を払い単位(たんい)と呼ばれる労働組織によって与えられる狭いアパートに住んでいたのです。
ちなみにこの単位は共産主義圏である中国特有の組織で、都市居住者はこの単位の下で組織化され、その下で働き、彼らの生活や思想はこれによって管理・支配されていました。農村の人々だけが戸籍制度によって劣悪な条件で生活していたかと言うと、実は割りと最近まで都市部の人々も厳しくその生活を管理、制限されていたんですね。
都市部でのこうした生活様式は勿論、中央政府によって管理される毛沢東主義的な計画経済の名残ですが、この様な堅苦しい空気に満ちた管理的な生活の下では誰も新たな住宅を建てようとか、購入しようとかいう気持ちにはなれませんでした。その結果、住宅の供給も少なく、大抵の家族は一人当たり13.5平方メートルほどの生活面積しかない狭苦しい住居に住んでいたのです。
都市住宅市場の民営化による経済の躍進
都市部でのこうした生活様式は勿論、中央政府によって管理される毛沢東主義的な計画経済の名残ですが、この様な堅苦しい空気に満ちた管理的な生活の下では誰も新たな住宅を建てようとか、購入しようとかいう気持ちにはなれませんでした。その結果、住宅の供給も少なく、大抵の家族は一人当たり13.5平方メートルほどの生活面積しかない狭苦しい住居に住んでいたのです。
しかし1990年代後半以降、こうした生活が都市住宅市場の民営化によって大きく変わっていく事になります。そしてこれは中国経済の歴史における一大転換点となるのです。
前半では農村出身者達の都市での生活機会を提供する居住許可制度が現在どの様な段階にあるのかを見てきました。やはり広大な中国全域で一度にこれを発効する事は政策立案的にも財政的にも難しいようです。
まとめ
前半では農村出身者達の都市での生活機会を提供する居住許可制度が現在どの様な段階にあるのかを見てきました。やはり広大な中国全域で一度にこれを発効する事は政策立案的にも財政的にも難しいようです。
そして後半では都市居住者達が1990年代後半まで如何に制限的な住宅環境で生活していたかを見ていきました。そしてそうした生活を大きく変える転換点としての都市住宅市場の民営化についても触れました。


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