はじめに
中国の政策立案者達は大量の移住労働者達が都市に押し寄せる事で都市のスラム化やスプロール化が起きる事を懸念しています。その事が中国の厳しい戸籍制度(都市への移住制限制度)の抜本的な改革がなかなか行われない事の原因です。しかし中国の役人達も移住労働者達に平等に居住の機会を与えようと努力しているのです。そうした努力は近年”居住許可制度”の試験的実施として公になってきています。今回は近年の中国が慎重に戸籍制度を改革しようとしている様子を見て行きます。
中国の大都市はスラム化しかかっている?
発展途上国を見れば、その国の大都市がありとあらゆる職業、出身の人々を無差別に吸引した結果、危うくスラム化しかかっている様子が分かります。フィリピンのマニラ、インドのムンバイ、ブラジルのサンパウロなどがその例です。
一方で、東アジアには東京やソウルの様にそうした問題をはらまずに創造性や技術革新の中枢として非常に秩序的に発展を遂げた大都市もあります。
中国の大都市を一目見た時に、その印象が前者と後者、どちらに近いかと言うと、実は前者なのです。つまりソウルというよりはマニラに近いのです。だから中国の役人達が大都市への人口流入を戸籍制度によって厳しく制限し続ける事はある意味正しい判断と言えます。
しかし、こうした移住制限は都市のスラム化を避ける事が出来る一方で、中国が日本や韓国の様な革新的な社会に成長する事の弊害になるでしょうし、また社会的な不平等を解決する事を困難にしていくでしょう。
居住許可制度:戸籍制度改革が現在尽力している事
こうした問題を是正する為に、中国の役人達は現在、従来の戸籍登録制度と並行する形で実施予定の”居住許可制度”を練り上げています。この居住許可制度では住居、学校、病院などの社会サービスの利用が従来の階級的な戸籍から切り放され、各個人が働き、住んでいる都市や町が発行する居住許可証によって賄われる事が想定されています。そしてこの居住許可証というのは、個人がその職業的、教育的適性を十分高め、きちんと国に納税して行きさえすれば、誰でも手に入れることが出来るものなのです。
2010年に広州、深圳、重慶、上海、天津を筆頭とするいくつかの大都市がこの居住許可制度を試験的に実施しました。そしてこれらの都市がこの際に使ったのはポイント制度でした。このポイント制度の下で、移住者達は長年の勤務状況や教育的適性、収めた税金の額などを基に都市から評価を得ることが出来ます。そしてこのポイントをある一定値以上に積み上げる事ができれば、彼らはその都市の居住許可を得ることが出来るのです。
中国都市部である種の階級社会を作っていた戸籍制度は社会サービスの不平等の原因として、また中国社会の革新的な発展の妨げとして中国政府からも問題視されてきました。そこで近年では徐々に改革が行われ、居住許可制度という新たな制度を導入する計画を中国は進めています。
まとめ
中国都市部である種の階級社会を作っていた戸籍制度は社会サービスの不平等の原因として、また中国社会の革新的な発展の妨げとして中国政府からも問題視されてきました。そこで近年では徐々に改革が行われ、居住許可制度という新たな制度を導入する計画を中国は進めています。
この居住許可制度はあくまで試験段階ですが、個人の能力や実績を正当に居住許可に反映させると言う点でおそらく中国をより効率的に成長させていくものと考えられます。そしてそれがいつか革新的と呼ばれる様な都市国家の創造に繋がる事でしょう。


0 件のコメント:
コメントを投稿