2020年8月3日月曜日

国から市民への富の転移のプロセス




はじめに

 中国では1998年以降、都市住宅の民営化が行われ、これによって都市部の家族は国の援助や優遇措置を受けて気軽に自分達の住む住居を売買出来るようになりました。
 こうした背景から、彼ら都市部の家庭は徐々に住宅購入を不動産投資の機会とみなす様になっていきます。  
 今回は1998年以降に起きたこうした都市部の住宅市場の活性化によってどのように国家の富が市民に行き渡っていったのかを、分かりやすい例を用いて見て行きます。

住宅民営化で移転した富の総額

 こうした市民の住宅市場への参加によってどれだけの富が彼ら都市部の市民の手に渡ったのかを見てみましょう。  
 総額は実に5,400億ドル。日本円にして54兆円です。54兆円もの富が中国都市部の市民の手に渡っていったのです。住宅民営化は2003年に中国の殆どの地域で完了しますが、この54兆円と言うのはこの年の中国のGDPの約1/3に相当する額です。市民が住宅市場に参加して自分達の住宅を売るだけでGDPの1/3の額の利益が生まれていたのです。市場の主人公はもはや国家ではなく都市部の一般家庭になったと言うことでしょうか。

都市部家庭は如何にして富を得て行ったか:その1

 ここで実際に中国都市部の家庭がどの様に住宅を買い、どの様に売却して利益を得たかを分かりやすい例を用いて細かに見ていきましょう。  
 都市中心部で100ドルの家を購入する家庭があるとします。勿論この家庭は100ドルを支払わなければなりませんが、まだそれほど裕福な家庭ではないので50ドルしか払えません。しかし彼らの所属する労働単位が足りない分のもう50ドルを無利息で貸してくれました。これで合計100ドルです。この家族はこの100ドルでこの家を無事買うことができました。  
 さて、5年間この新居に住んだ後、彼らは国から家を売却する事を許可されます。そしてその時、その住宅の市場価格は250ドルにまで膨らんでいるのです。当初より豊かになりたいと願っていた彼らは当然この住宅を売る事にしました。250ドルが彼らの手に入ります。  
 この家族はまず労働単位に50ドルのローンを返済しないといけないので、これを支払います。すると200ドルが手元に残ります。この家族ははじめに自分達の資金から50ドルを支払っていたので、差し引き150ドルが彼ら家族が得た利益と言う事になります。  
 この150ドルは、住宅民営化が行われる以前の時代であれば国が受取る事になるお金です。何故なら当時は都市の住居を全て国が管理、所有していて、居住者はあくまでそれを借りて住んでいただけだからです。しかし住宅民営化がなされた現在は、本来国に渡るはずだったこの150ドルをその住宅の持ち主であるこの家族が受け取る事が出来るのです。  
 簡潔に言えば、本来国が受取るはずだったお金を市民、すなわちこの家庭が受取る様になったのです。だからこの150ドルは国から市民への富の”転移”とみなす事が出来る訳です。

都市部家庭は如何にして富を得て行ったか:その2

 さて、この家族はこの150ドルの利益を得た後、勿論以前より150ドル分豊かになりました。豊かになればそだけ購買意欲も大きくなります。そこで彼らは都市中心部にあるアパートを今度は2つ新たに購入する事にしました。値段はそれぞれ100ドル、計200ドルの出費です。一つは住む為のアパート。そしてもう一つは実際には住みませんが、投資としてのアパートの購入です。  
 さて、数年後、市場原理によってこれらの住宅の価格は上昇し、250ドルにまで膨らみました。これらを売却すれば計500ドルになります。初期投資が200ドルなので差し引き300ドルが利益として彼らの手に渡ります。  
 こうしてますます自由に出来るお金が増えていったのですね。

まとめ

 住宅民営化によって都市部の家庭がどの様なステップで富を得て言ったかを例を使って分かりやすく見ていきました。重要なのは、彼らが住宅の自由市場に参加する事で、国に代わって利益を得る事が出来るようになったという事ですね。







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