2020年8月18日火曜日

1990年代後半から中国の住宅価格が上昇し続けた理由




はじめに

 1990年代後半から、中国の住宅市場は民営化され、市場原理によって都市部の住宅価格が上昇していきました。都市部の家族は国からの補助金や安い内部価格を利用して容易に住宅を購入し、数年後にそれを市場価格で売却する事で大きな利益を得る事ができました。今回は都市住民が1990年代後半から急速に豊かになる事を可能にした都市住宅の市場価格の上昇が如何にして起きたのかを見て行きます。

都市家族が享受した利益と不動産事業の活性化

 都市部の家族は1990年代以降、中国政府の様々な支援の下、格安で自分達の住むアパートを購入する事ができました。そしてその数年後にはそのアパートの価値が市場原理によって数倍に上昇するので、時期を見て彼らはこのアパートを売却し、大きな利益を得る事ができました。こうした不動産の購入、売却を複数回行えば、より大きな利益を得る事ができたわけです。簡単な例で言えば、住宅への僅か50ドルの初期投資が10年後には500ドルにまで膨らむ事も起こりえたのです。この例で言えば都市住民の資産が10年間で10倍になるのですから、彼らが如何に急激に豊かになって言ったのかが分かりますね。
 こうして都市住民が住宅購入に意欲的になると、住宅への需要も増えるので、結果として不動産開発業者の新たな事業が次々に創出されていく事になります。つまり中国の住宅民営化は都市家族を豊かにしただけでなく、住宅事業そのものを活性化させ、中国の経済成長を促したという事です。

一般に住宅価格は上昇し続けるか?

 もちろん、上記の例は住宅価格が一定の比率で上昇し続けると仮定した場合でないと成り立ちません。そして安定した永続的な住宅価格の上昇と言うのは普通は起こらないのです。2007~2008年に起きたアメリカのサブプライムショック(住宅バブルの崩壊)の悲劇がそのいい例と言えます。この時アメリカの住宅所有者達は突然住宅価格が大きく下落した事を悲しい現実として痛感した事でしょう。  
 では中国の場合はどうでしょうか?実は中国は例外的に長期間(10年以上)住宅価格の上昇を見る事になったのです。

中国の住宅価格上昇が維持された理由

 それでは何故中国では10年以上に渡って住宅価格が上昇し続ける事が出来たのでしょうか?その大きな理由として、住宅民営化が行われて以降の都市住宅の初期価格がとてつもなく低かったと言う事があります。  
 住宅民営化が行われる1990年代後半以前、中国都市部では不動産の売買と言うのが活発には行われていませんでした。代わりに中国都市部の住宅用地は国家によって運営される単位(たんい)と言う労働組織が所有・管理していたのです。そしてこうした国家による厳格な不動産管理体制が何十年も続いていたのです。その為住宅用地の価格は変化する事が殆ど無く、本来なら市場原理によって設定されるであろう価格に比べて遥かに低い価格のままだったのです。  
 1990年代後半、住宅民営化がスタートした時点では、中国の住宅市場はまだ原初的な状態だったわけですね。

確実に利益を得る事ができた住宅市場

 こうした極めて低価格の状態から住宅価格の上昇が始まったので、中国都市部ではその1990年代後半から2000年代前半に渡って安定してこれが継続しました。実に10年あまりをかけて、真の市場価格に到達するまで住宅用地の地価が上昇したという事です。  
 地価の上昇が安定していると言う事は、都市部の不動産を手に入れることが出来る人なら誰でも巨大な利益を得る事ができたという事です。この”誰でも”と言うのは、都市部に住む一般家庭かもしれないし、その土地の再開発権を持つ不動産会社かもしれません。

まとめ

 中国都市部の家族が住宅民営化以降、如何に大きな利益を得る機会に恵まれていたか、また住宅価格の上昇が何故安定して1990年代後半から2000年代前半まで続いたのか、その理由を見てきました。  
 1990年代後半当時、中国の不動産と言うのはアメリカなどの先進国のそれに比べて相当に価格が低かった事がその主な原因でした。そしてそうした極端な低価格の原因は、住宅民営化以前の数十年間、国が単位を通して都市住宅を所有・管理していた事にありました。







0 件のコメント:

コメントを投稿

はじめに 1.古い旅客鉄道網の閉鎖 2.儲かる路線と儲からない路線 3.高速旅客鉄道建設に渦巻く汚職 4.中国のインフラ建設汚職は如何にして防ぐ事が出来たか まとめ はじめに  中国のインフラ建設はアジア通貨危機が起きた1997年以降、加速度的に進められてきました。金融危機に対す...