はじめに
中国都市部の住宅市場は一見バブルの様に見えますが、実際にはかなり堅実なものです。それは都市部市民の収入が住宅価格よりも早く上昇していたり、また住宅購入の際に高い頭金(持家住宅で20%、投資用住宅で60~70%)が課されていたりする事からも分かります。アメリカ合衆国のサブプライム問題の時、この数値は5%程度と言う低さだったのです。
また2010年からは中央政府が住宅価格が過剰に上昇しない様に市場介入するようにもなりました。今回はこうした事に加えて中国の地方政府や中央政府のどの様な政策が住宅価格の暴落を防いでいるのかを見ていきます。さらに中国の都市部の住宅市場の抱える巨大な問題である住宅市場の二層構造(高級住宅市場と低級住宅市場の分断構造)についても触れようと思います。
売れない住宅をどうするか
近年都市部ですさまじい勢いで新しい住宅が建てられてきた中国。しかし住宅が売れなければ需要不足という事になり、住宅価格が値崩れを起こしてしまいます。 そうならない為に、中国の不動産開発者や地方政府は売れない値段の高めの住宅の目録については改築などをして低所得者向けに改めて売りに出すと言う様な戦法を用いています。そうする事で、数年以内には適切な購入者が現われるそうです。 現に、中国では高級住宅の供給が過剰な一方で、低所得者向けの手頃な住宅の供給については慢性的に不足しています。そこで地方政府が空室の状態の住宅団地を買い上げ、強い需要のある低価格の公営住宅に改築して低所得者向けに売りに出しているのです。
中央政府による住宅市場の監視
中国の中央政府は住宅市場が中国経済にとって如何に重要であるかを熟知していると同時に、住宅価格の暴落が中国経済に及ぼすであろう悪影響について非常に鋭敏に感じ取っています。その為、それが起きないようにする為に積極的に住宅市場に介入してきました。投機的な住宅価格の上昇を意図的に制限してきたのです。その努力のおかげか、これまでに住宅価格の暴落は防がれて来ました。
住宅市場を安定したものにする為にはもっと強硬な介入が必要であるとも言われていますが、住宅民営化が始まってまだ20年足らずという事もあり、市場参加者たちもまだまだハングリーという事でしょうか。政府もそれ程強く住宅価格の上昇をコントロール出来ていません。
中国都市部の住宅ブームがバブルであるか否かという事が気がかりになりますが、今の所価格の暴落は起きていませんし、それが起きない為に十分な対応を中央政府も地方政府もそれなりに取れている様です。
バブルかどうかよりも重要な事
中国都市部の住宅ブームがバブルであるか否かという事が気がかりになりますが、今の所価格の暴落は起きていませんし、それが起きない為に十分な対応を中央政府も地方政府もそれなりに取れている様です。
そして大事なのは、これがバブルかどうかと言った抽象的な議論よりも、むしろ中国の住宅市場における明確な問題や、市場が成長する事により生じる歪などに焦点を当て、政府の政策がどの様にしてそれらを解決しようとしているのかを語る事の方なのです。
ご存知の通り、中国では都市戸籍を持つ世帯が不動産売買で莫大な利益を得ている一方で、農村出身者にはそうした市場参加の権利、或いは財産権が与えられていません。こうした農村と都市の間の格差が住宅民営化の歪として根強く残っているのです。そして悪い事に、政府が行っている事は結局、新たな問題や歪を発生させることでこうした既存の問題や歪を解決しようとしているだけなのです。農村における戸籍問題やそれに伴う財産権の問題について抜本的な解決と言うのが為されていないという事ですね。
中国の住宅市場で大きな問題となっているのは、市場が都市戸籍を持つ高所得者向けのものと、これを持たない低所得者向けのものとに分断されてしまっている事です。これはしばしば“二層構造の住宅市場”として問題視されてきました。
住宅民営化の歪としての住宅市場の二層構造
中国の住宅市場で大きな問題となっているのは、市場が都市戸籍を持つ高所得者向けのものと、これを持たない低所得者向けのものとに分断されてしまっている事です。これはしばしば“二層構造の住宅市場”として問題視されてきました。
どの様にしてこうした構造が生まれたのかと言うと、そもそも1998年以降の住宅民営化が比較的高価な住宅を政府の援助や格安の政府設定価格(内部価格)を利用して購入できた幸運な都市戸籍所有世帯と、純粋に苦労して働いて溜めた貯金をはたいて住宅を購入しなければならなかった不幸な階級の世帯(非都市戸籍所有世帯)との、大きく分けて二つの階級を生んだ事が原因なのです。
この二層構造の市場で何が起こっているのかについてはまた次回詳しく解説しますね。
一見華やかな中国都市部の住宅ブームがどの様にしてその堅実さを保っているのかを、中央政府や地方政府の政策を通して見てきました。例えば余って売れない住宅については地方政府が公営住宅に改築して低所得者向けに売りに出していました。また中央政府としては特に2010年以降、住宅市場に介入する事で投機的な住宅価格の上昇を制限していました。
まとめ
一見華やかな中国都市部の住宅ブームがどの様にしてその堅実さを保っているのかを、中央政府や地方政府の政策を通して見てきました。例えば余って売れない住宅については地方政府が公営住宅に改築して低所得者向けに売りに出していました。また中央政府としては特に2010年以降、住宅市場に介入する事で投機的な住宅価格の上昇を制限していました。
また、重要な事は中国の住宅ブームがバブルかどうかをひたすら議論する事ではなく、その住宅市場で起きている最大の問題である高所得層向け市場と低所得層向け市場とに分かれた市場の“二層構造”の問題に焦点を当て、そうした歪に対して中央政府や地方政府がどの様に対処しているのかを詳しく見ていく事である事を確認しました。


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