2020年10月24日土曜日

2000年代からの港、発電所、インターネット、高速旅客鉄道などのインフラ建設ラッシュ




はじめに

 中国では1998年の住宅民営化から住宅建設ブームが巻き起こりました。そして中国政府は高級住宅の供給過剰問題や低所得者向けの手頃住宅の供給不足問題などに対処してきました。今後は国からの助成金を得た公営住宅の建設など、低所得者向け住宅の支援が活性化すると考えられています。
 そうした大規模な住宅建設の一方で中国ではインフラ建設も盛んに行われてきました。特に1998年にアジア通貨危機を経験した事から、これに対処するために財政刺激策としてインフラへの支出を特別債を利用して積極的に行うようになったのです。
 このインフラ事業の代表的なものとしてアメリカ合衆国の州間高速道路システムをモデルにした中国国内の高速道路網の建設がありました。中国では2014年までにアメリカ合衆国の1.5倍の長さである11,2000キロメートルにも及ぶ高速道路網が建設されたのです。
 今回は中国におけるこうしたインフラ建設が高速道路以外にどのような分野で行われていったかを見ていきます。

港の輸出能力の拡張

 港は元々中国の東海岸沿いに点在していましたが、2000年代になって中国国内での農産物、軽工業、重工業製品などの輸出量が増大する事に伴い、これに対応するためにこうした港の設備も拡張されました。
 2000年代の初めには、中国の輸出の半分近くは香港経由で行われていました。何故なら当時、中国国内の港はまだ技術的な側面で遅れており、貨物を十分に扱えなかったからです。ただし、そうした国内港のなかでも唯一上海だけは世界で上位19位のコンテナ港として活躍していました。中国一の上海港でも世界19位と言う低い輸出量だったのです。
 しかし2000年代初めから2013年までに中国国内の港を通しての輸出量は実に6倍にまで増加します。この十数年間にそれだけ国内の新たな港の建設や技術的な近代化が進んだという事です。こうして2013年には中国は世界トップクラスの輸出大国となり、輸出量ランキングで中国に続く6つの輸出大国(アメリカ合衆国、ドイツ、オランダ、日本など)の輸出量合計を上回る量のコンテナを出港させるまでになりました。そして上海はそれまで輸出量1位だったシンガポールを抜き、世界最大のコンテナ港となります。ちなみに上海以外に中国国内の5つの港(深圳、香港、寧波、青島、広州など)が世界トップ10にランキングしています。
 こうして2000年代に入ってから、中国国内の産業の本格化を支えるインフラとして港が急速に整備されていったのです。

発電所の建設ラッシュ

 中国の輸出において主要な役割を担っている広東省(国際的な貿易港である深圳を抱える)では、2003年から時折停電が起こり始めます。恐らく使用電力に供給電力が追い付いていなかった為でしょう。その為、より洗練された発電所をより多く建設する為の投資が積極的に行われるようになりました。
 2003年からの10年間に、中国は何とイギリス国内の全発電所に相当する規模の発電所を毎年新たに建設しました。2002年には発電容量は357ギガワットでしたが、2014年にはこれが1,300ギガワットにまで増大しました。12年間で実に4倍も増えたんですね。これはアメリカ合衆国の1.2倍の規模です。

インターネットの導入

 中国における港や発電所と言った重厚長大なインフラ建設ラッシュの様子を見てきましたが、ここからはより近代的なインフラであるインターネットの導入について見ていきましょう。
 2003年時点で、中国国内のインターネット利用者数は僅か6,800万人でした。しかしその後、遠距離通信やインターネットネットワークといったインフラへの巨額の投資が行われ、2014年にはこのインターネット利用者数は6億5,000万人にまで増加しました。中国人口の約半数がインターネットを利用するようになったのです。 インターネット利用者数が急激に増加したという事からも、この時期に中国国内でパソコンの所有者が爆発的に増加した事も窺えます。
 また、この2003年から2014年の間に携帯電話利用者数は2億7,000万人から13億人にまで増加しました。パソコンに比べ低価格の携帯電話になるとインターネット利用者数よりもさらに利用者の数が多いことが分かります。中国人民のほとんど誰もが1台は携帯電話を所有していると言う事が何となく想像できます。

高速旅客鉄道の建設

 同時期に中国はインターネットよりもさらに高度な技術を要するインフラ建設に着手していました。それが中国国内の大量の人の移動を可能にする高速旅客鉄道です。これは日本の新幹線をモデルとしたもので、総延長実に16,000キロメートルに及ぶ大規模な高速旅客鉄道の建設計画が2003年にスタートしていたのです。
 この高速旅客鉄道建の建設計画はあらゆるインフラ建設計画の中でも最も大きな議論を呼びました。それだけ技術的に困難な課題だったという事でしょう。

まとめ

 中国において港、発電所、インターネット網、高速旅客鉄道などの近代的なインフラ導入がどれだけ大規模にかつ急ピッチで行われて来たかを見てきました。
 2000年代から中国国内の港のコンテナ輸出容量は港の整備によって急激に拡張され、世界輸出量ランキングで19位にとどまっていた中国国内トップ輸出港の上海は2013年までには世界トップのコンテナ港へと成長しました。その他の中国国内の輸出港も急成長を遂げました。
 また中国は10年で6倍と言うこうした輸出量の急激な増大に伴い、国内の電力供給網も完備するべく発電所の建設を大規模かつ急速に進めるようになりました。こうして中国はアメリカ合衆国の実に1.2倍の電力を供給できるまでになったのです。
 この他にもインターネット網をはじめとする通信系インフラの整備によって2014年にはインターネット利用者が人口の約半分にまで達しました。
 さらに人の行き来を便利にするための高速旅客鉄道の大建設計画も2003年からスタートしていました。これは日本の新幹線をモデルにしたものでした。






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